ロンドンVixen 60年代ー70年代のロックをひたすら聴く

60年代後半から70年代の黄金期を中心にロック名盤・名曲を聴く

ムーディー・ブルースの「セブンス・ソジャーン」は不朽の名盤

 

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今晩は。倫敦ヴァーチャル・パブのきつね亭です。

今晩の名盤は、ムーディー・ブルースの『Seventh Sojoun(セブンス・ソジャーン)』です。


この記事をヒットしてくださった方はご存知かと思いますが、ムーディー・ブルースはイギリスのバンドで一般的にプログレの草分けのような扱いになっています。

70年代の最盛期のメンバーはジャスティン・ヘイワード、ジョン・ロッジ、マイク・ピンダー、グレアム・エッジ、レイ・トーマスの5人。

しばしのソロ・休眠期を経て80年代にも数枚の佳作アルバムを出しています。

ムーディーズのベスト・アルバムはこの8枚目『セブンス・ソジャーン』か7枚目の『童夢』(当ブログのタイトルのバックにある子供のイラストのジャケね)かと悩ましいところですが、「Isn't Life Strange(神秘な世界へ)」「ユー・アンド・ミー」「ロックンロール・シンガー」が入っているという点でこのアルバム一押しです。

 

では聴いてみましょう。

今夜のカクテルはその名もムーディー・ブルー。
ウォッカ、ピーチ・シュナップス、ブルー・キュラソーとアップル・ジュースでお作りします。

 

まず独断ながら第1曲目の「失われた世界(Lost in a Lost World)」と2曲目「新しい地平線」は軽く聞き流しても構いません。

マイク・ピンダー作の一曲目は反ヘイトのメッセージ・ソングですが、曲調がやや時代を感じさせます。はっきりいうと、サビの部分は昭和の歌謡曲を彷彿とさせます。

2曲目はジャスティン・ヘイワード作のきれいな曲ですが、やや冗長な印象を免れません。

「For My Lady(フォー・マイ・レディー)」

さて、この辺りからムーディー・ブルースの本領発揮の感があります。

作詞作曲を手がけたレイ・トーマスがフルートとヴォーカルを担当していますが、なんという美しい旋律。

ムーディーズというとどうしてもジャスティン・ヘイワードとジョン・ロッジのイメージが前面に出ていて、他3名の存在は悲しいかな地味なのです。 が、地味方のレイ・トーマスがこんなに甘く心地よい声をしているとは。

フルートとアコギ、そしてメロトロンに代わるチェンバリンによるオーケストラ。バックのコーラスの美しさ。

愛する女性への想いを航海に例えているあたりも旋律もいかにも英国フォークの伝統を踏襲した曲作りで、時代を感じさせないラブ・ソングといえるでしょう。

「Isn't Life Strange?(神秘な世界へ)」

私的にロック史上全カテゴリーの曲で好きな曲の5番以内には必ずランクインするのがこの曲です。
神秘な世界へ、という陳腐な邦題はこの際どうでもいい。
「人生って不思議だよね」なんです。
苦しみ、悩んで悪戦苦闘して、でもその日があったから今ここにこうしている。
貴女の瞳にうつる存在でありたかった。思いかえすと貴女はそこにいた。でも今僕らはここにいる。(自分ながら陳腐な訳ですが)
サビの部分、It makes me cry, cry ,cryから、Wish I could be in your eyes/Looking back there you were, and here we areに胸をつかれます。泣きたくなります。
切ないけど哀しくはない。男女の再会の歌であると同時に愛と再生の歌なんですね。
チェンバリンによるバックグラウンド・オーケストラの美しさ、力強い男声コーラスにかぶさるメローなギター・ソロの妙。
ああ生きていてよかった、この曲がまた聴けた‥というと大げさですが。
作詞作曲のジョン・ロッジさんにありがとうと言いたくなります。

 

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「You and Me (ユー・アンド・ミー)」

エレキ・ギターのソロとチェンバリンの印象的なイントロではじまるヘイワードとエッジの共作によるアップテンポの曲。
「東洋に葉のない木があり、陽光の下に家のない人がいる。谷は山火事で燃え、そこから物語は始まる」
と、何だか神秘的な歌詞です。ウィキペディアによると枯葉剤を使ったベトナム戦争の暗示とのことですが、ピンと来ません。
大いなる父により創造され、その子の愛によって祝福されたこの世界を畏怖をもって眺めようというキリスト教的な世界観も出てくる。
失敗はゆるされない、決して決して止まってはいけない、と言っているのでやはりメッセージソングなのでしょう。
ジャスティン・ヘイワードを中心としたコーラス、ギター・ソロ、チェンバリンとともにリズム・セクション、とくにリズム・ギターとパーカッションが効果的に入っています。

続く「Land of Make Believe(虚飾の世界)」でもコーラスが活きていて、ヘイワードの美声が発揮されています。
アコギ、フルート(合成?)に加え、チェンバリンによるオーケストラ・サウンドの広がり。ここでもヴォーカルと重なって入ってくるギター・ソロが魅力的です。

「I am just a singer in a rock'n roll band (ロックン・ロール・シンガー)」

ジョン・ロッジによるこの曲を最後にもってきたのはグッジョブです。

このアルバムのいくつかのメッセージソングに、ムーディーズはこの曲で「私はロック・バンドのシンガーに過ぎないよ」と答えています。

政治家でもなく有力者でも軍人でもない。でも音楽というメディアを通じて異なる言語・文化の間に橋を築いているよという彼らの矜持が歌詞から伝わってくるのです。

前の曲の遠くかすかな笛の音の名残にパタパタとドラムがかぶさっていくイントロが面白い。

曲全体を流れるギターとオーケストラ・サウンド、中間に入るギター・ソロも耳に心地よく、ノリのいい曲です。

終わりに

日本語のウィキペディアを見たら「本当にプログレッシブなバンドはピンク・フロイドとムーディ・ブルースだけだ」というジミー・ページの台詞が載っていて意外な気がしました。
ピンク・フロイドは分かるとして、自分の中ではクリムゾンとフロイドあるいはクリムゾンとイエスの組み合わせが挙るような気がしていたので。

確かに他に先駆けてメロトロンを駆使した音作りをしていたのでプログレというジャンルに属するのでしょうけれど、それはたまたまマイク・ピンダーというキーボード奏者がいたからで、ほかのメンバー達もはたして意識してプログレの方向を目指していたんだろうか?と。どちらかというとソフト・ロックの要素もあって、ソフトよりのプログレというか。まあジャンルは関係なく、ムーディ―・ブルースは本当にいいです。

おまけのクリスマス・プレゼントです。

この時期にちなんでムーディー・ブルースの『December』というアルバムからクリスマスの曲を2曲。
「In the Quiet of Christmas Morning」はバッハの「主よ人の望みの喜びよ」のアレンジです。


The Moody Blues - In the Quiet of Christmas Morning (Bach 147)

 

そしてもう一曲は「スピリット・オブ・クリスマス(Spirit of Christmas)」。ジョン・ロッジの美しい曲です。少々むごい画像が入っているので閲覧は注意して下さいね。クリスマスの本当の意味を伝えている曲だと思います。

 


The Moody Blues - The Spirit of Christmas

 

このアルバムにはホワイト・クリスマスはじめクリスマスの曲が11トラック入っています。