ロンドンきつね亭 私的ライナー・ノーツ

60年代後半から70年代の黄金期のロック名盤・名曲をひたすら聴く

ジェフ・ベックと超スーパー・メンバーたちの『トゥルース』

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今晩は。ヴァーチャルパブ倫敦きつね亭です。
スコッチのオン・ザ・ロックですか?すぐにお作りしましょう。

 

さて、ジェフ・ベックを聴いたことがない方に、もし1枚だけアルバムをお勧めするという状況になったら、私ならこの『Truth(トゥルース)』が一押しです。『ラフ・アンド・レディ』も『ベック・オラ』も捨てがたいものがありますが、まずは『トゥルース』かな、と。

もっともベック本人に聞いたら確実に『ブロウ・バイ・ブロウ』、『ワイヤード』以降のほうを好んでいるでしょう。

でも初期のブルースにどっぷりのジェフ・ベック、いいんですよね。

まずはアルバムの豪華絢爛なメンバーをご覧ください。
ジェフ・ベック(g)のほかにロッド・スチュアート(v)、ロン・ウッド(b)、ニッキー・ホプキンズ(p)、ジョン・ポール・ジョーンズ(b、org)、ジミー・ペイジ(g)、キース・ムーン(d)。

当時一般に名が’知られていたのはベックのほかは同じくヤードバーズにいたジミー・ペイジザ・フーキース・ムーンぐらいでしょうか。

ロッドとロンはこの後ベックとの確執の末、スモール・フェイセスのメンバーと合流してフェイセズへ。ひとりはポップ界のスーパー・スター、もう片方はストーンズのギタリストに。

レッド・ツェッペリンはこのアルバム発表と同年にデビューを果たし、ピアニストのニッキーはセッション・ミュージシャンとしてその地位を確立します。

 ではこのアルバムの聴き所をみて行きましょう。
あ、細かい説明がうざったいと思ったら「まとめ」とおまけの動画だけ見てってね。


モーニング・デュー(Morning Dew)

最初の2曲もギターとボーカルの掛け合いが楽しくロン・ウッドのベースも冴えていますが、前半の聞きどころは3曲目の「モーニング・デュー」じゃないでしょうか。

これは多くのアーティストがカバー・バージョンを出している曲で、核戦争だかの後に残った人間の歌らしく寂寥感の漂う歌です。

ベック版では、バグ・パイプのイントロの後にロッドのボーカル、次いでワウ・ファズを聞かせたギターが絡んできます。語っているような嘆いているようなギターの旋律が美しい。ベース・ラインも後半に入ってくるピアノも秀逸です。 

ユー・シュック・ミー(You Shook Me)

しょっぱなからニッキーのピアノ。主張は強いけど曲にはまっていて邪魔ではありません。中盤にはばっちりギターの聞かせどころが。ジョンジーのオルガンも控えめながら効いています。

ごてごてのブルースですが、ロッドの声質は不思議に合っています。

この曲、マディ・ウォターズがオリジナル版ですが、ツェッペリンも1枚目に入れていますね。 が、批判承知で言ってしまうと、ロバート・プラントの声質には絶望的に合っていない気がしました。

グリーン・スリーブス(Green Sleeves)

前半と後半の箸休めのような感じでアコギのグリーン・スリーブスが入っています。

私がジェフ・ベックの曲をはじめて聞いたのは中学の頃に深夜放送で聞いたグリーン・スリーブスでした。今考えると数あるベックの曲の中でなぜグリーン・スリーブスが初めての邂逅、という感じですが今でも好きなナンバーです。

ごてごてブルースのアルバムの中で澄んだ音色のアコギが清涼剤となっています。

 

さて後半は聴きどころ満載です。

ロック・マイ・プリムソウル(Rock my Plimsoul)


何ともリズムが心地よいごてごてのブルースです。
この手の歌を歌わせたらピカイチなのはポール・ロジャーズですが‥‥
いえロッドの歌も十分曲に合っています。ベックのギターはめちゃめちゃ歌いまくってます。いつまでもこのリズムに揺られていたい曲です。

ベックス・ボレロBeck's Bolero)

作曲のクレジットがジミー・ペイジになっていますが、ベック自身は自分がかなりの部分書いたと言っています。
この曲のベースはJPJ, ドラムはキース・ムーン。初めはザ・フージョン・エントウィッスルが参加する予定だったのに、結局来なかったため急遽ジョンジーになったとか。
ラヴェルの「ボレロ」からヒントを受けたとのことで、最初の部分ではラヴェルのタッタタタ・タッタというリズムの繰り返しがジミー・ペイジの12弦ギターで行われます。そこにベックのギターが入り、ベース、ドラム、ピアノが入るという構成です。ベックのギターの伸びがとても美しい。

ブルース・デラックス(Blues Deluxe)

このアルバム中唯一のライブ録音です。

ロッド・スチュアートは根っからのショー・マンでスタジオ録音より生き生きとしていているように聞こえます。歌詞に合わせて、自虐的な「ハッハッハ」という笑いが入っていたり。

この曲のニッキー・ホプキンズのピアノがすさまじくいい。ブログなら赤スター3つ位とはてブつけるレベルです。超高音の叩き付けるような演奏のところは正直何の音を弾いているのか分からないですが。

大丈夫か、ニッキーに主役食われちゃわないか、と思ったけど大丈夫、後半ブルースギター・ソロの技の見せどころがちゃんとあります。

迷信嫌い(I Ain't Superstitious)

この曲のギターはとても面白い。ワウファズが効いていて「黒猫が目の前を横切り(Black cat crossed my trail)」の歌詞に合わせたようなネコのミャウ・ミャウ声が出ています。

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ニャんの用かにゃ


ちょっと残念

前半のOl' Man River という曲は、ゆったり流れるミシシッピ河と近くの綿花プランテーションで働く黒人の苦しみを対比させたよい曲です。
ベック自身がベースを担当し、中盤のロッドのボーカルとベックのギターの掛け合いもいい。ジョン・ポールのオルガンも崇高な印象です。
が、いかんせんキース・ムーンティンパニの音が大きい。ミキシングのせいだと思いますが、太鼓の音ばかりが耳に残ってしまいました。

まとめ

将来大スターになる個性豊かなミュージシャンが集まっているせいもあり、それぞれの音にエッジが効きすぎて、取留めのないという印象をもつ方もおられるかもしれません。
されど、そこが生々しいというか、洗練とは違った意味での面白さ、楽しさがあり、これから花開いていく彼らのエネルギーを感じる一枚です。

面白いのは2009年のベックのステージにロッド・スチュアートが飛び入りで出演し、「You Shook Me」を歌いはじめたYouTubeの画像です。長い年月を経て確執が風化したのでしょうか?

もうひとつ2007年の動画で、ベックがTal Wilkenfeld という若いオーストラリア人女性のベーシストとコンサートをやっているのがありました。
可愛らしく細腕なのになかなか凄いベーシストです。ベック様もえらく楽しそう。

下の動画、一見の価値あります。 


Best FEMALE Bass player in the world! Tal Wilkenfeld Jamming with JEFF BECK