ロンドンVixen 60年代ー70年代のロックを聴く

60年代後半から70年代の黄金期を中心にロック名盤・名曲を聴く(時々乱読)

夏だ!祭りだ!『ウッドストック』その 3 -ジェファーソン・エアプレーン、ザ・バンド、ジョニー・ウィンター他

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今晩は、ロンドンVixenです。

先々週、先週に続き今回はウッドストック・ボックスの3枚目です。

3枚目の出演者は
ジェファーソン・エアプレイン
ジョー・コッカー
カントリー・ジョン&ザ・フィッシュ
テン・イヤーズ・アフター
ザ・バンド
ジョニー・ウィンター

ジェファーソン・エアプレイン

ウッドストックはバンドによって演奏時間が違いますが、多くが1時間前後のところジェファーソンは1時間40分も演奏しており、当時の人気を伺わせます。

ウッドストックに参加したのは、ヨーマ・カウコネン(g)、ポール・カントナー(v、g)、マーティ・バリン(v)、ジャック・キャサディ(b)、グレース・スリック(v)の他に嬉しいことにジェフ・ベック・グループが解散したばかりのニッキー・ホプキンスが参加しています。

個人的にジェファーソンというバンドはそれほど馴染みがなく、代表作のサイケデリック・ピロウ』とグレース・スリックのベスト盤を持っているものの、それほど熱心に聴いたことがありません。

CD収録曲はボランティア」、「サムバディ・トゥ・ラヴ」、「サタデイ・アフタヌーン/ウォンチュー・トライ」、「アンクル・サム・ブルース」、「ホワイト・ラビット」

 

「ボランティア(Volunteers)」
マーティン・バリンがリード・ヴォーカルを務め、グレースポール・カントナがハモっています。

中盤、ギターのソロが好き。さすが名ギタリストの誉れ高いヨーマ・カウコネンニッキーのピアノもいい。

 

「サムバディ・トゥ・ラヴ(Somebody to Love)」

大ヒット曲でグレースの当時の夫の兄弟ダービー・スリックの作。

「Don’t you want somebody to love」のコーラス部分は、当時フリー・セックスが全盛だったサンフランシスコで、「でも本当に愛する人はいらないの?」という問いかけになっていたという(Wikipedia)。

グレース・スリックの声はやはり迫力があります。

アドリブも入り、スタジオ録音よりもぐんぐん引き込まれます。

「サタデー・アフタヌーン/ウォンチュー・トライ (Saturday Afternoon/Won’t you Try)」

これはとてもハーモニーが美しい曲。
最初グレース・スリックマーティ・バリンがハモっていて、途中からポール・カントナが加わり、3者で絶妙にハモっている。

ジャック・キャサディのベースがいいし、カウコネンも申し分ないかっこよさ。

映像で見る面々のヒッピー風ファッションもご愛嬌。

 


Jefferson Airplane Live @ Woodstock 1969 Won't You Try _ Saturday Afternoon.mpg

 

アンクル・サム・ブルース(Uncle Same Blues)」
アンクル・サムはご存知アメリカ政府を擬人化した人物像。

のちにホット・ツナのアルバムに収録された曲で、ギタリストのカウコネンがヴォーカルを独演しています。

ゴテゴテのブルース、いいなー。

ニッキー・ホプキンスのピアノ文句なし。キャサディのベースも。

 

「ホワイト・ラビット(White Rabbit)」

ホワイト・ラビットは「不思議の国のアリス」に登場する白ウサギですが、子供向けの歌ではありません。

ドラッグのトリップで不思議の国や鏡の国を訪れ、アリス、赤の女王、ナイト、キセル芋虫が出て来たりしています。

ヒットした曲でグレース・スリックの歌唱力も分かりますが、うーん今ひとつ自分にはピンときませんでした。

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グレース・スリックにしてもジャニス・ジョプリンにしても当時はドラッグ漬けだったに違いありませんが、78歳で存命のグレースと26歳で他界したジャニス。運命は残酷です。

ジョー・コッカー

2014年に他界したジョー・コッカー

このアルバムにでは「Let's Get Stoned」「With a Little Help from My Friend」を収録。

前者はレイ・チャールズでヒットしたR&Bナンバー。後者は言わずと知れたビートルズのカヴァーです。

両者とも元歌からの乖離が凄い。
おそらくこの人の場合、誰のどの曲を歌ってもジョー・コッカー流なのでしょう。

当時25歳にして人生に疲れ酔いどれた中年男の悲哀すら感じさせる渋い声とこの表現力。

ビートルズのカヴァーは結構鳥肌ものです。


テンイヤーズ・アフター


「アイム・ゴーイン・ホーム」

これはすごい。

早弾きのアルヴィンことアルヴィン・リーのギターの魅力が炸裂。
リズム・セクションも負けていません。

 


Woodstock - Ten Years After - I'm Going Home(Live)

 

ザ・バンド

ザ・バンドアメリカ中心の活動をしてきているがオリジナル・メンバーはカナダ出身。

ウッドストックに参加したのは、ロビー・ロバートソン(g, v)、リック・ダンコ(b、v)、リーヴォン・ヘルム(d、v、マンドリン)、ガース・ハドソン(kb)、リチャード・マニュエル(kb、v、d)

 

CDに収録されたのは「Long Black Veil」、「Loving You Is Sweeter Than Ever」、「The Weight」の3曲。

 

ロング・ブラック・ヴェール(Long Black Veil)はカントリーバラードで多くのミュージシャンによって演奏されています。

殺人の疑いをかけられ処刑された男。実は冤罪で、事件の夜は親友の妻と一緒に過ごしたが、情事を知られて女性を傷つけるよりも死を選んだ。
真実を知る女性は処刑の日大勢の中で人知れず涙を流し、のちに喪の黒いヴェールを風になびかせ墓にやってくるという歌詞。

素朴なハーモニーが後味の悪いドラマを淡々と語り、イントロから入るオルガンが崇高な余韻を醸し出します。

続く「Loving You Is Sweeter Than Ever」モータウン発のR&Bナンバー。

ザ・バンドにしては意外な選曲ですが、カントリー風にアレンジをしています。
ギターの小気味良いカッティングと、バックのオルガンが印象的。

「The Weight」は何とも懐かしい曲で、初めて聞いたのが中学生ぐらいだったでしょうか。その時の演奏がザ・バンドの元曲だったかニッティ・グリッティだったかは忘れましたが、今まで記憶の奥底に沈んでいました。

映画「イージーライダー」の中でも使われたそうです。

バックのピアノとオルガンがいいですね。

中盤でベースのダンコが普通にベース弾きながらリードヴォーカルを歌ってドラマーのヘルムと掛け合いやっているのが面白い。

 


The Band ... the Weight 1969 @ woodstock live

 

ジョニー・ウィンター

ジョニー・ウィンターは弟エドガー(kb)とともにウッドストックに出演しています。ベースはトミー・シャノン、ドラムは”アンクル” ジョン・ターナー

CDに入っているのは「Mean Town Blues」。
この曲はエドガーは入っていません。

12弦エレキを金属製のボトルネックでスライドさせて弾く極限の白人ブルースは泥臭い一方、時に繊細で可憐ですらあリます。

ギター・テクも曲も筆舌に尽くしがたい素晴らしさですが、長身のジョニーがプラチナブロンド(エドガーともにアルビノ)をなびかせてステージの上を舞うさまは、この世のものとも思われないほど神秘的で、天界から舞い降りた人の様な不思議な美しさです。

これはCDだけだと味わえないステージ・パフォーマーの魔力です。

とにかく凄いのでぜひ見てください。

 


Johnny Winter Live at Woodstock playing Mean Town Blues - 1969. Johnny Winter Dies July 16th 2014.