ロンドンVixen 60年代ー70年代のロックを聴く

60年代後半から70年代の黄金期を中心にロック名盤・名曲を聴く(時々乱読)

フランケンだけじゃないエドガー・ウィンター『They Only Come at Night』

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今晩は。ロンドンVixenです。
今回はエドガー・ウィンター・グループです。

先日ウッドストック・パート3ジョニー・ウィンター映像を探していたら、弟のエドガー・ウィンターフランケンシュタインのスタジオ録画が出てきて思わず見入ってしまいました。

 

『They Only Come at Night』(1972)はエドガー・ウィンター・グループとしては1枚目のアルバム。

キーボード等とヴォーカルのエドガーの他はロニー・モントローズ(g、マンドリン)、ダン・ハートマン(b、v)、チャック・ラフ(d、パーカッション)。

のちにギタリストとして参加するリック・デリンジャーは主にプロデューサーとして参加している他、何曲かにギターで入っています。

 

明るくてノリのいいブギウギやロックンロールあり、ブルースもラテンもありと楽しいアルバムですが、とくに一押しは以下の数曲です。

フリー・ライド(Free Ride)

このアルバムの作詞・作曲はほとんどウィンターかハートマンが手がけていますが、これはハートマンの作。
当初フランケンシュタインはこの曲がシングルカットされた際のB面になっていました(のちに逆転してこちらがB面に)。

「山は高く谷は深い。どちらに行くか君は迷う。だから僕が手を差し伸べる。約束の地に向けて」という他愛ない詞です。

明るく楽しいポップス調の曲。

モントローズのギターソロがいいです。

この曲のベースはハートマンではなくランディ・ジョーホッブスとクレジットが入ってますがめちゃくちゃカッコいい。ベースの動きを追って行っても面白い曲です。

 

アンダーカヴァー・マン(Undercover Man)

エドガー・ウィンターの曲。

自分をスパイになぞらえて「君は裏口のところにいる。君は僕を待っている、待ち望んでいる、それを僕は知っている」と言っています。

一歩間違えればストーカー、というか家の裏口からふと振り返ってジャケ写真のエドガーが物陰から覗いていたらまじで絶叫ものです。

この曲のギターの入り方、最高にセンスがいい。

ヴォーカルと掛け合いながら歌って語るギターです。
途中で入ってくるピアノもいい。

 

ラウンド・アンド・ラウンド(Round & Round)

「フランケン」を除くとこの曲がダントツに好きです。

歌詞は気まぐれな女に翻弄されている内容で全然ハッピーな歌詞ではないのに、なぜか聞いていると幸せになってくるこのメロディー。

ハーモニーも綺麗に決まっています。

シャカシャカいっているハートマンのマラカス。

スティールギターはリック・デリンジャーでしょうか。

何か懐かしい感じだし、イーグルスっぽい部分もあるし。
なぜシングルカットされなかったのか不思議。

日本でも絶対好きな人が多いと思う曲です。


 


Edgar Winter Group, Round and Round


オータム(Autumn)

これも美しい曲でハートマンの作。

「風は冷たく、恋人は去って行った。
やらなければならないこともないから、秋の間はニューイングランドにいよう。
建物は灰色で高く、鳥が飛んでいる。特に何もいうことはない」

アコギのイントロに続きハートマンのヴォーカルによるメロディの綺麗なバラード。
やがてリズム・セクションとコーラス。

マリンバの可愛らしい音が入ります。


途中からオーケストラのストリングスが入っているけど、オーケストラのクレジットが載っていないところを見るとシンセサイザーで作った音なのでしょうか。

 


Autumn. The Edgar Winter Group. (1972)


フランケンシュタイン(Frankenstein)


これはCDで聴いても良いのですが、やはり映像が楽しすぎます。

エドガー・ウィンター一人4役というか、エレピを首から下げたままサックス吹いて、ドラムソロに合わせてティンバレス叩いて、シンセサイザーを操作したかと思うと床に置いたエレピの上に猛禽類のように何度も舞い降りる。凄い。凄まじい。

兄のジョニーのギターも鬼気迫るものがありますが、エドガーも何か取り憑いているんじゃないかと。

インプロヴィゼーション満載のキーボードの楽しさを凝縮した上に、さらにドラムもギターもベースもうわーと言いたくなる楽しさのてんこ盛り状態。

 

CDではロニー・モントローズがギターですが、このアルバム収録後に脱退したため映像ではリック・デリンジャーが入っています。

 


Frankenstein . Edgar Winters Group . 1973

 

蛇足ですが、フランケンシュタインは、幾つかのアレンジの録音をツギハギで作った曲だから、とか。

アルバムの題から「夜になると現れる」怪物のこととアホな連想していたのですが‥。

終わりに

ブルース・ギターの求道者のようなジョニーもすごいけど、弟さん、あなたもすごい。
本当に全ての曲が楽しめるアルバムです。

いいもの聞かしていただきました。