ロンドンVixen 60年代ー70年代のロックをひたすら聴く

60年代後半から70年代の黄金期を中心にロック名盤・名曲を聴く

おぞましくもメチャ実力派、ブラック・サバスの1枚目『Black Sabbath』

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今晩は、ロンドンVixenです。

前回の爽やかなアメリカにうって変わり、今回は禍々(まがまが)しさ全開のブラック・サバスでいってみます。

かなり最近まで、ブラック・サバスというのはマリリン・マンソンのような本物の悪魔崇拝者の集団だと思っていました。 

それが「ブラック・サバス」(1963)という映画が盛況なのを見て、「オカルトって受けるんじゃね?」とかで軽くバンドのコンセプトを決めたと聞いて、これはデーモン閣下のノリだったのかと。

 

実際ベースと作詞担当のギーザー・バトラーは当時かなり真面目に黒魔術に傾倒していて、住んでいた部屋を漆黒に塗りつぶし壁に十字架と悪魔たちの肖像を掛けていたらしい。ある夜オジー・オズボーンに借りたラテン語の魔書を置いたあたりに黒い人影が立ち、慌てて起き上がって見ると人影も書物も消えていた、という逸話がウィキペティアに載っています。

ヘビメタの元祖としても知られているバンドですが、当時はユーライア・ヒープと並んでツェッペリン、ディープ・パープルに次ぐ英国ハード・ロックバンドという評価であったような記憶があります。

1枚目『黒い安息日Black Sabbath』は、1969年10月16日にたった一日、12時間で収録されました。

ジャケットの背景、中央に立つ黒衣の女がイヤーな雰囲気を出しています。

黒い安息日Black Sabbath)

雨と雷鳴、教会の鐘の音のSEで始まる1曲目。
教会の鐘はゴシック・ホラーのお約束。
聖と邪は表裏一体。神がいるなら悪魔もいる。

歌詞はバトラーが出会ったような大きな黒い姿で火のような目を持つ悪魔との邂逅。

ギター・フレーズのリフレインにかぶさってユニゾンするベースのスライド音のかっこよさ。

時として和太鼓のように轟くドラムの音色が曲の不穏な空気を体現しています。これだけ表現力のあるドラムもまた珍しい。

そして中盤のヘヴィメタ・ギャロップを経て絡み始める左右のギターの見事さ。とくにギター・ソロには、曲のおどろおどろしさにも関わらず、美しい!と歎息するばかりです。

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魔法使い(The Wizard)

「ウィザード」という曲は、ロード・オブ・ザ・リングの老魔法使ガンダルフにヒントを得て作ったらしい。
良い魔法使いが歩いていくと邪悪なものは力を失い、悪鬼たちは彼が近づくのを恐れる。
「涙を喜びに変え、行く先で人々に幸せを与え魔法使いは歩いて行く」という歌詞です。

 

ジーのハーモニカがバグパイプのような鄙びた音色でイントロを務め、ギターのリフにベース、ハーモニカがユニゾンで被さるヘヴィー・ロックの真髄のような曲。

ビル・ワードのドラムは自由奔放にドラムソロをやっているようでいてきちんとリズムを支えている面白いドラミング。

ここでもヴォーカルの合間に入ってくるトニー・アイオミのギターのフレーズにセンスを感じる。歌詞に沿っていて、悪魔が尻尾を巻いて退散する滑稽な様子が想像できます。

 


Black Sabbath - (1970) The Wizard (Live 2005) (Sous Titres Fr)

エヌ・アイ・ビー(N.I.B)

魔王ルシファーが人間の女性に恋をして真剣な愛を持つというファンタジー

N.I.Bは何の略かと当時様々な憶測が飛んだようですが、ドラマーのビル・ワードが当時生やしていた顎髭の先が尖っていたことをNib(ペン先)と呼んだだけ、というオチらしい。真偽はともかく。

クリームのSunshine of Your Loveを思わせる重厚なリフが続くノリのいい曲。
耳について離れなくなります。

このバンド、ギターもベースもドラムも本当にかっこいい。
途中リッチー・ブラックモアを思わせるアイオミのギター・ソロ。

オジー・オズボーンについてはここまで、上手いの?という疑問があった。どの曲も呻いているような苦しそうな歌い方で、第1曲めの悪魔に出会って怯えている場面には確かに合っているが、あまり好みのシンガーじゃない、と思っていた。が、映像をみて少し考えが変わった。

この人は確かにカリスマ性があり魅せるフロントマンというヴォーカルの条件を満たしている。

 


Black Sabbath - "N.I.B." Live Paris 1970

 

ア・ビット・オブ・フィンガー/眠れる村/警告(A Bit of Finger/Sleeping Village/Warning)

私が持っている米国版はヨーロッパ版と違って、この3曲が組曲のように途切れなく入っています。

陰鬱なギターのアルペジオ

どこまでがA bit of Finger」なのか分からないまま「眠れる村」へ。
平和な村の夜明け前を歌っているはずなのに背筋にぞわっと違和感。
黒い安息日よりも却ってこちらの方が不気味だったりします。

 

シンバルとベースの音を境にギターの重録の絡みが始まります。
聞き応え満点のギターの凄さ。
ベースも踊っています。

ギターの重厚なリフにベースが相和して曲は「警告」へ。

このブルース・ナンバーでギターはあたかもセカンド・ヴォーカルであるかのように歌いまくっています。

この曲のオジーのヴォーカルは決して悪くないんだけど、アイオミのギターの凄まじい表現力のおかげで影が薄くなっているような印象。

ブルース・シャッフルに突入。ああ重い。
ベースもドラムもめちゃ好き。
そして華麗なギターが終盤まで主役を張っています。

ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルの目くるめく饗宴に、何度聞いても曲が終わった後に「すごい!」とため息が出るのみです。


最後に

オカルトとかゴシック・ホラーとか色物で分類されるには勿体ない、凄いテク、センス、パワー。本当にすばらしい。

もしあなたがギターを始めたばかりの10代の少年(少女)ならこのアルバムのトニー・アイオミはぜひ聴いていただきたいです。世の中に優れたギタリストは多いですが、その連山の一つの峰に位置しているであろうアイオミのギター。
ちなみにアイオミ先生は確かユーチューブでギター講座もやっているはず。

このアルバムの米国版にはなぜか「Evil Woman」が入っていません。それだけが残念です。