ロンドンVixen 60年代ー70年代のロックをひたすら聴く

60年代後半から70年代の黄金期を中心にロック名盤・名曲を聴く

ユーライア・ヒープ1枚目はジャケはエグいが中身は粒ぞろい

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いやー何というか閲覧注意レベルといいますか。
ブラック・サバスじゃないんだし、ちょっと考えてくださいよ。


一気に食欲減退するじゃないですか。

 

ヒープの1枚目(1970)はその名も『Uriah Heep』で『Very ‘eavy, very ‘umble』という副題が付いています。

バンド名はディケンズ作のデイヴィッド・カッパーフィールドに登場する悪役ユライア・ヒープが由来や(おっと滑りましたか)いうことは『ソールズベリ』の記事で触れました。

 

londonvixen.hateblo.jp

 

その悪党ユライアの口癖が ”I am very ‘(h)umble” 。

それをもじってVery (h)eavyと名付けられたこのアルバムはまさにヘヴィーロックの金字塔というべきでしょう、

今日のお勧めはアルコール度数もトップクラスにヘヴィーな「ゾンビ・カクテル」です。

 

ジプシー(Gypsy)

いきなりヘヴィー・ロックの王道で来ましたね。
「ジプシー」はシングル・ヒットもしたかなり有名な曲です。

ファズの効いたオルガンに続いてベース、ドラム、ギターが入ってくるイントロ、ヒープらしいポーズの繰り返し、ファズを利かせまくったギターとオルガンの間奏、重厚なリズム・セクション、バイロン(v)の多重コーラス、終盤のオルガンとギターの破茶滅茶な絡み方。全てカッコいい。ケン・ヘンズレー(k)とミック・ボックス(g)、ナイス・ジョブです。

70年代のロックには、トラフィックのパーリー・クイーンを始めとしてジプシー女がらみの曲がやたらに多い気がするのですが、既存の価値観が崩れ去り異質なものに対する憧憬が出て来た時代背景なのでしょうか。

 

続く2曲目の「Walking in Your Shadow」。リズムとギター・フレーズが心地いい。
ベースの高音部分も美しいです。
バイロンの歌唱力はさすがと言うべきでしょう。


カム・アウェイ・メリンダ (Come Away Melinda)

アルバム中で唯一ヒープのオリジナルではない曲。
古いアルバムを見つけた少女メリンダと父との会話によって曲が構成されています。

アルバムに出てくる少女たちやメリンダの母は戦争によってすでにこの世にいない。

誰なの?誰なの?と無邪気に尋ねるメリンダと言葉少ない父の対話。

フルート(おそらくメロトロン)の音色に導かれ、アコギが紡ぎ出していくひたすら美しい曲。途中メロトロンによるストリングス、女性コーラスも美しい。
ベースラインも秀逸です。

『ソールズベリ』の「公園」と並んで、ヘヴィー・ロックのアルバムに敢えてこの曲を入れた意思を感じます。

 

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Lucy Blues (ルーシー・ブルース

4曲目は正統派ゴテゴテのブルースです。
ヘンズレーのピアノもオルガン・ソロも申し分ない。
このベースのドッタ、ドッタがいいですよね。ドラムも達者だし。
バイロンの歌唱力も素晴らしいです。が、欲をいえば声質にもう少し泥臭さがあれば満点かも。

 

5曲目の「ドリームメア(Dreammare)」
オルガンによる鄙びたメロディのイントロの後、どっとヘヴィーなロックです。
ファズ利かせまくりのギターもドラム、ベースのズッシリ感もいい。

リアル・ターンド・オン(Real Turned On)

この手のブルース系の重たいシャッフル、文句なしに好きなんですよねー。
ミック・ボックスもヒープにこのギタリストあり、という存在感を出しています。
リード・ギターの多重録音でツインリードのように互いに絡んだり、ハモったりしているのがカッコいい。

 

7曲目のアイル・キープ・オン・トライング(I'll Keep on Trying)
重たいコーラスで始まり、これぞヘヴィーという曲調。中盤にメロウな部分が入りさらにヘヴィーな終盤へ。
ポール・ニュートンのベースラインが絶妙。ミック・ボックスのギター・ソロもさすがです。

ウェイク・アップ(Wake Up)。
かなり変拍子の多い曲ですが、リズム・セクションが素晴らしい。とくにベース。
ヴォーカルと一緒に入ってくる冒頭のベースの高音も美しい。
女性コーラスとメロトロンによるストリングス音もいい感じです。
が、何と言ってもバイロンの歌唱力が生きている曲です。

 

ボーナス・トラックの最終曲の「ボーン・イン・ア・トランク(Born in a Trunk)」は本編とは多少違いドライブのかかった軽妙なリズムのロックで楽しい。ギターのカッティングがカッコいいし、ドラムのバタバタも結構快感。

 


Uriah Heep - Born In A Trunk

最後に

大半の曲がデヴィッド・バイロン、ミック・ボックス、ポール・ニュートンによって書かれており、ケン・ヘンズレーが中心になっていく最盛期のヒープとは大分趣きが違い、プログレ的な要素も微かに察せられる程度です。
バイロンの特徴的ななファルセットも少ない。

しかしこのグイグイと押してくるヘヴィー・ロックの感覚。聞き終わった後にむしろ清清しさすら感じます。

『対自核』からが本番、それ以前は試行錯誤のような意見もネットに見受けられますが、私的にはこの1枚目とソールズベリ時代のヒープ、ブリティッシュ・ロックの中でもかなり高順位になっています。