ロンドンVixen 60年代ー70年代のロックをひたすら聴く

60年代後半から70年代の黄金期を中心にロック名盤・名曲を聴く

ポール・コットンのソロ1枚目は隠れた名盤

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今晩は。ロンドンきつね亭の今夜のアルバムは、ポール・コットンの『Changing Horses』です。

ポール・コットンはアラバマ生まれのシカゴ育ち。ジム・メッシーナ脱退後のポコに参加しリード・ギターとシンガーを務めましたが、1990年に1枚目のソロ・アルバムを発表しています。

1990年。1960年代から1970年代の名盤を聴くというのがブログのコンセプトじゃなかったんでしょうか。

今回ブログのサブ・タイトルに「を中心に」というファジーな語を入れて見たりします。もう何でもありという感じですが、一応70年代の延長ということで。

ネバーマインドとか言って「赤ん坊がドル札と水泳をしている某バンドのジャケ」なんぞを出しましたら、「そりゃ守備範囲と違うだろうが」と突っ込みを入れてください。

 

このアルバムとの出逢いは、当時レコード屋で1曲目がかかっていたのを「今かかっている曲が入ったCDください」といういわば一目惚れならぬ一耳惚れだった記憶があります。

今日はラム、ライムとコーラのカクテルをお出ししましょう。

 

「アイ・キャン・ヒア・ユア・ハート・ビート(I can hear your heart beat)」

とにかくノリのいい1曲目。踊れます。
原曲はクリス・レアで、本アルバムで唯一のカバー曲になっています。

クリス・レアのオリジナルが入っていたCDも以前持っていましたが、そちらはもう少しアンニュイな雰囲気があったように思います。

ピッツバーグの工場にいても華やかなパリのクラブにいても僕は君のもの、という内容。「ヨーロッパのディスコ、若者が集まるジュークボックスがあって、冷えたコカ・コーラでも何でも手に入る」という歌詞の部分が特に好きで、昔のパリのディスコでティーンエイジャーたちがたむろしている様子が目に浮かぶようです。

イントロから入るドラムのキレの良さ。ドラマーは元スティーブ・ミラーバンドにいたセッション・ミュージシャンのゲイリー・マラバー。

この曲には「Sailing」のヒットで知られるクリストファー・クロスもバック・ボーカルで入っています。


1曲目のノリの余韻を残したまま始まる2曲目の「アイ・ウォーク・ザ・リバー(I walk the river」。このバックビート、このドラマー本当にいいです。


3曲目の「タイガー・オン・ザ・ローン」はクラブ・ミュージックの影響を感じる曲。好き嫌いはあるかもしれませんが、個人的にはギター・ソロも今ひとつ平凡な気がして印象が薄いのです。

 

次の「ヒア・イン・パラダイス」、パーカッションとテナー・サックスが活きています。ギター・ソロもいい感じ。

このアルバムではトロピカルなテーマが3曲にわたって登場しますがこのパラダイスは比喩で使われているようで、「彼女と自分は同じ港から違う方向に航海をする」、「ここに長居をしても同じ事の繰り返し」、「肩にオウム、背中にサルがいたけど、片方をもう一方と交換しなくてはいけなくて」という歌詞から察するに余り楽しい場所ではなさそう。

モラトリアムのような、あるいは煮詰まった状況のようですが、この曲の「のたり、のたり」感は結構心地いいものがあります。

 

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ワン・ロング・ラスト・ルック (One Long Last Look)

1曲目と並んで好きな曲です。曲調はロックでバッド・カンパニーがやりそうな曲。
ボーカルのバックのミック・ラルフス風のギターもピアノもいい。
サビもいいし、Moving On以下は歌い方もブルースになっていて、ポール・コットン意外とブルースもいけるんじゃないかと新たな発見があります。

ハート・オブ・ザ・ナイト(Heart of the Night)

ポコ時代のヒット曲のアレンジ版です。

面白いことに、アルバムの英語の題名が「Changing Horses」になのに、日本発売時の邦題が「ハート・オブ・ザ・ナイト」になっているんですね。

ポール・コットン、忘れられているかも、でもポコのヒット曲なら知っている人がいるかも、みたいな発売元の思惑なんでしょうか。

ポコのカントリー・ロック的な要素は全くありません。のっけから入ってくる女性ボーカルのポーシャ・グリフィン、ソウルシンガーのようですが、この曲の魅力の半分以上は彼女に取られています。只者ではありません。

アコーディオンとサックスのアレンジもよくポコ時代と比べて洗練された曲になっています。

 

7曲目のアフター・オール・ディーズ・イヤーズはラテンのテイストが入ったラヴ・バラードですが、特に印象に残る曲ではないので軽く聞いて次へ。

 

ジャマイカン・レイン (Jamaican Rain)

「ジャマイカの雨」というタイトルなのに、歌詞にジャマイカは出てきません。我が心の奥に雨が降る、と歌っています。縦ノリのレゲエ風のリズムですが、軽快さがなく重厚。このベースがかなり快感です。ピアノがやたら自己主張していますが、雨音のようでこれも心地いい。おそらくキーボードだと思いますが、雷鳴を表すかのように爆音が所々に入っています。

 

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ハイ・ウォーター(High Water)はパーカッションで始まるラテン系のけだるげな美しい曲。記憶とイマジネーションの中の南の海の情景を歌っています。特にハーモニーが美しい曲で、これもクリストファー・クロスがバックに入っています。

 

フロム・アクロス・ア・クラウデッド・ルーム (From Across a Crowded Room)。人が大勢いる部屋の向こうから彼女が近づいてきて始まった恋。映画のシーンのようですね。この曲もドラム、ベース、パーカッションのリズム・セクションが秀逸。中盤の歌うようなギター・ソロも綺麗に決まっています。


最後に

1曲目に魅かれて衝動買いしたアルバムですが、通して聴いてみるとかなり後半はラテン音楽の影響が感じられます。ポコらしさは殆ど感じられません。

ロック、ブルース、ラテンとこなすポール・コットンのヴォーカルもさることながら、このアルバムを支えているドラム、ベース、打楽器、それにバックグラウンドのヴォーカリスト達に拍手です。